退職した後は

被保険者が退職すると、その翌日に被保険者の資格を失いますが、一定の条件を満たしている場合には、引き続き健康保険に加入できる任意継続の制度等があります。

POINT
  • 一定の条件を満たしていれば、引き続き当健康保険組合に加入できるしくみがあります。
  • 被保険者資格を失ったあとでも、給付を受けられる場合があります。

退職して被保険者の資格を失ったときは、健康保険組合から交付された有効期間内の各証(保険証2025年12月1日まで)、 資格確認書等を5日以内に返納する必要があります。その後は、それぞれの状況に応じた医療保険に加入することになります。

マイナ保険証の利用登録を行っている場合、転職や退職等に伴うマイナ保険証利用の再登録は必要ありません。ただし、保険者(健康保険組合、共済組合等。国民健康保険に加入の方はお住まいの自治体)への届け出は、引き続き必要です。

  • ※マイナ保険証に最新の資格情報が表示されない場合は、加入中の保険者へご確認ください。

退職後に加入する医療保険

退職後
再就職
するとき
1 再就職先が加入している医療保険の被保険者になる
再就職
しないとき
2 当健康保険組合の任意継続被保険者になる
3 国民健康保険に加入する
4 配偶者や子どもの被扶養者になる
75歳以上はすべて後期高齢者医療制度に加入します

引き続き当健康保険組合に加入する場合

被保険者期間が2ヶ月以上あった人は、退職後も引き続き2年間は、「任意継続被保険者」として個人で健康保険の被保険者になることができます。

保険給付は、一般の被保険者と同じ給付を受けることができますが、傷病手当金と出産手当金は支給されません。 ただし、資格喪失後の継続給付に該当する場合は、資格喪失後の傷病手当金・出産手当金として受け取ることができます。

任意継続被保険者となれる人

次の全ての要件を満たしていることが必要です。

  • 退職等により健康保険の被保険者資格を失った方
  • 資格を失った日まで継続して2ヵ月以上被保険者であったこと
  • 資格を失った日より20日以内に任意継続被保険者となることの申請をすること

任意継続被保険者でいられる期間

任意継続被保険者となった日から最長2年間です。

  • ※75歳になると後期高齢者医療制度に加入するため、2年以内でも資格を喪失します。

負担する保険料

被保険者の自己負担分と事業主負担分をあわせた全額を自己負担します。任意継続被保険者になると、事業主による保険料負担はありません。毎月10日までに自分で保険料を納付します。

保険料の納付方法は月払いのほか、一定期間の保険料を一括して納付する前納があり、前納の場合は法定の割引が適用されます。
前納できる期間は半年毎(4月~9月分、10月~翌年3月分)、または1年毎(4月~翌年3月分)です。
詳しくは健康保険組合にお問い合わせください。

令和6年度任意継続被保険者の前納保険料について

前納のメリット

  • 任意継続保険料の払い忘れによる資格喪失防止
  • 保険料の割引があり

満40歳未満の方で月額280,000円の方が、毎月保険料を納付した場合と12ヶ月前納した場合との差額

毎月納付した場合
302,400円
(25,200円(1ヶ月分)×12ヶ)
12ヶ月前納した場合
296,062円
(「前納保険料額表」参照)
△6,338円
参考リンク

前納期間

6ヶ月間: 4月から9月まで、10月から翌年3月まで
12ヶ月間: 4月から翌年3月まで

ただし、上記期間中に任意継続被保険者の資格を取得した方、またはその資格を喪失することが明らかな方(2年間の期間満了や75歳に到達する方)については、当該6ヶ月間または12ヶ月間のうち、その資格を取得した日の属する月の翌月以降の期間、またはその資格を喪失する日の属する月の前月までの期間の保険料について前納することができます。

介護保険料の上乗せ納付が必要な方

満40歳から64歳までの介護保険第2号被保険者に該当する任意継続被保険者の方は、健康保険料に加えて介護保険料の納付が必要です。

したがって、これに該当する任意継続被保険者の前納保険料は、健康保険料と介護保険料を合算した額を納付することになり、片方だけの前納は認められません。(毎月納付される場合も同様です。)

標準報酬月額

保険料計算の基礎となる標準報酬は、①資格喪失時の標準報酬月額か、②前年9月末日現在の当健康保険組合の全被保険者の標準報酬月額の平均額を比較して、①と②いずれか低い額に決められます。

(例)標準報酬月額28万の場合(令和6年3月1日現在)

健康保険料 25,200円
介護保険料 5,040円

保険給付の内容

出産手当金と傷病手当金は支給されません。それ以外は法定給付・付加給付ともに在職中と同様に支給されます。

  • ※資格喪失後の給付に該当する場合は、出産手当金と傷病手当金も支給されます。

任意継続被保険者の資格を失うとき

次の事由に該当した場合は、該当するに至った日の翌日(4、5の場合はその日)に任意継続被保険者の資格を失います。

  • 被保険者となった日より起算して2年を経過したとき
  • 死亡したとき
  • 保険料を指定された納付期日までに納めないとき
  • 再就職して、他の健康保険等の被保険者となったとき
  • 後期高齢者医療制度の被保険者等となったとき
  • 任意継続被保険者でなくなることを申し出た場合、その申し出が受理された日の属する月の末日が到来したとき

退職した後も給付を受けられます

退職前に継続して1年以上被保険者期間があった人は、資格喪失後も、傷病手当金、出産育児一時金、出産手当金、埋葬料(費)を受けられる場合があります。

ただし、この場合、付加給付は支給されません。

退職したあとの給付(本人のみ。被扶養者への給付はありません)

傷病手当金

支給の条件

下記の要件をいずれも満たした場合に支給されます。

  • 退職日(資格喪失日の前日)までに、継続して1年以上の健康保険被保険者期間(任意継続被保険者期間は除く)がある場合。
  • 退職日(資格喪失日の前日)に傷病手当金を受けているか、受ける要件を満たしている場合。
  • ※期間が満了するまで続けて受けられます。
支給される期間

傷病手当金の支給開始日から支給期間を通算して1年6ヵ月間

  • ※老齢厚生年金等を受給している場合、傷病手当金は支給されませんが、老齢厚生年金等の額が傷病手当金よりも低額な場合は、差額が支給されます。
  • ※退職後に労務可能となった場合、退職後の継続給付は終了します。治癒しているか否かを問わず、同一の疾病等により再び労務不能となっても支給期間の通算化はされません。
参考リンク

出産手当金

支給の条件

下記の要件をいずれも満たした場合に支給されます。

  • 退職日(資格喪失日の前日)までに、継続して1年以上の健康保険被保険者期間(任意継続被保険者期間は除く)がある場合。
  • 資格喪失後6ヶ月以内に出産した場合。
支給される期間

出産手当金の受給期間満了(産後56日)まで

参考リンク

出産育児一時金

支給の条件

下記の要件をいずれも満たした場合に支給されます。(被扶養者が資格を喪失した場合は支給の対象になりません。)

  • 退職日(資格喪失日の前日)までに、継続して1年以上の健康保険被保険者期間(任意継続被保険者期間は除く)がある場合。
  • 資格喪失後6ヶ月以内に出産した場合。
  • ※退職後に被扶養者となって出産した場合は、加入している健康保険組合の「家族出産育児一時金」か、退職後の「出産育児一時金」のどちらかを選択します。
参考リンク

埋葬料(費)

支給の条件

下記のいずれかに該当したときに支給されます。(被扶養者が死亡した場合は対象外となります。)

  • 資格喪失後3ヶ月以内に死亡した場合。
  • 傷病手当、出産手当の受給中に死亡した場合。
  • 傷病手当、出産手当の受給終了後3ヶ月以内に死亡した場合。
参考リンク

75歳以上は後期高齢者医療制度

75歳以上の人、または65歳以上で寝たきり等の人は、それまで加入していた医療保険からはずれ、後期高齢者医療制度の被保険者となり、後期高齢者医療制度から医療を受けます。